日本伝統武術の武器紹介

特殊武器・18種

林邦史朗が生前に蒐集した、あらゆる武器(特殊武器)をご紹介します。

特殊武器
弓折れ Yumi ore
破損した弓を、杖の長さ程度に切ったものです。
指揮棒として使ったり、杖にもしたり。
もちろん、簡単な武器としても使えます。
貫級刀 Kankyutou
武士の手柄は、戦場で敵将の首級をあげる事にあります。
取った首級を殿様に献上して認めてもらって、初めて手柄と認められる為に、自分が取った首級である事を証明するべく、この貫級刀の穴に紙縒りを通して己が姓名を書きつけ、取った首の耳の穴に刺して、区別をしていました。
槍の穂先 Yari no hosaki
短刀、合口拵えの中に仕込んである槍の穂先で、いわゆる「鎧通し」の一つです。
「鎧通し」とは、戦場で組討ちになった際に、敵の武将の鎧の隙間から刺突できるよう作られた、頑丈な刀の総称です。
仕込杖 Shikomizue
杖の中に、槍や刀が仕込んであります。
他にも、分銅鎖などが仕込んである物もあります。
仕込笛 Shikomibue
笛の中に、刀が仕込んであります。
これも、隠し武器の一つです。
写真、一番上の物は分銅鎖で、二番目の物は正木流で使う万力鎖、以下二本は、万力鎖の仲間です。

分銅鎖は、ぱっと見ると、「万力鎖」と同じに見えますが、これは全く別物です。
狭い場所で扱い易い、隠し武器の一つです。

万力鎖の方は、60cmから120cmくらいの長さで、鉄鎖の両端に分銅を付けた隠し武器で、片手でも握り隠せるのが特徴です。
写真は、正木流(美濃の国・大垣藩の御留流)で使っている万力鎖と、その変形バージョンですが、万力鎖は技を持って扱う武器であり、力で扱う物ではありません。
なので、身の丈に合った長さの物が、扱い易いようです。

両端の分銅が丸い物もありますが、これなら裸の場合でも、脇の下や肘の関節に挟んで隠す事が出来ます。

相手を殺傷せずに捕える事も出来ますし、狭い場所でもOKな隠し武器です。
ヌンチャク Nunchaku
左上から、武劇館の門人が個人的に作った、プラスチック製のヌンチャク(紐が、手持ち部分に収納できる)です。
2番目の銀色のヌンチャクは、折り畳み式で、下から2番目の物がまず第1段階に伸ばした物で、それからさらに引き伸ばした長さの写真が一番下の物です。

ヌンチャクはもともと隠し持てる武器ですが、これは更に折り畳みが出来て、持ち運びにさらに便利。
このヌンチャクは、金属製です。

真ん中の黒っぽいヌンチャクは携帯用で、これは伸び縮みはしない木製のものです。

4番目は一般的な木製の物で、一番右の物は稽古用(革製で、芯に竹を使用)です。

ヌンチャクは、琉球古武術の武器の一つで、回転力(遠心力)を利用して戦います。
映画「燃えよ!ドラゴン」で使用され、ヌンチャクの存在が世界的に認知されましたが、映画が公開される前から林邦史朗は、この武器を武劇ショーなどで使っていました。
トンファー Tonfar
農具から出た武器で、琉球古武術で扱われる武器のひとつです。
握りの部分を持ち、肘までがカバー出来るくらいの長さの物を使用しますが、木製です。
空手の突き技(裏拳など)の延長として、両手に一つずつ持って使用します。
隠し武器の一つです。
釵 Sai
琉球古武術の「空手の手刀」をいかして、手の延長として用いる鉄製の武器です。

本来は、黒く塗ってある物を両手に1本ずつ持って戦いますが、別に1本を隠し持ちます。

たとえ1本を敵に投げつけたとしても、隠しから1本を出して2本を手に持ち、戦います。
鎌 Kama
もともと、農具として草を刈ったりする物ですが、琉球古武術では隠し武器として、2丁使用します。
片方で受けて、もう片方で攻撃をしたり、または巻き落としたり。
写真は左が本身で、右は稽古用(木製)です。
鎌に鎖や分銅を付け、遠心力を利用して投げつけたり、足や首に巻き付けて相手を制します。
これも、隠し武器の一つです。
飛び口 Tobikuchi
火消しが持っていた道具で、短い物は大体50センチくらいから、長い物は6尺(1.8メートル)くらいあります。
物を壊したり、引っ掛けたりと使い道は様々。
昔は、どんな家にも一つくらいはあったそうです。
兜割 Kabutowari
鉄製の刃のない刀で、「鉄刀」とか、「ハチ割」とも呼んでいます。
長さは、30センチ位の物から、1メートル位の物までと、色々。
相手を斬り殺さないように使用する、護身用の武器の一つです。
十手 Jyutte
写真、上2本までは、稽古用の十手です。
一番下の物が本物の十手(鉄製)で、手元に鉤がついていて、刀を受けたり、もぎ取ったりします。
江戸時代に入ってからは、役人(今の警察関係)が専門に持つようになりました。
長さは20センチ位から、長い物で1メートル位と、色々とあります。
ナエシ Naeshi
役人の手先をしていた者たちが十手の代わりに持っていたり、武家の女性が護身用に持っていた鉄製の武器です。

手などにダメージを与え、相手を萎えさせてしまうので「ナエシ」といいます。
特殊警棒 Tokusyukeibou
平素は10センチ位の長さに折り畳んで携帯が出来、いざという時に30センチ位の長さに伸ばして使用します。
鉄製の棒で、ガードマンや、私服の警官などが持っています。
警棒 Keibou
警官が持っていた、60センチくらいの硬質木材の丸棒です。
原型は、暴れ馬を扱う時に使用していた「鼻ねじ」。
馬泥棒などが来た時にはもちろん、武器としても使用しました。
鉄甲 Tekkou
鉄製はもちろん、木製のものもあります。形もこのように色々とあって、両手に握って使用します。
受・斬る・突くなど、拳(こぶし)を鍛えなくても破壊力を生む、強烈な隠し武器です。

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