エッセイ集

第48話 その後の「お富サンの三味線」~4月(2007年)

 2月に更新をして、その後はバッタリ・・・っ。 (^_^;)
 実は今年に入ってまず、兄が「ピロリ菌に冒されている事」が判明をしましたっ。
 私こと山野亜紀は昨今、「健康誌の(モデルさん斡旋の)仕事」をする事があったので、健康誌の編集さんにお尋ねしてみたのですが・・・。
 やはり「明治のプロバイオティクスのヨーグルト」が時間は掛かるけれども、結構に効果があると聞きました♡
 
 また混ぜ物無しの蜂蜜も効果がある(!)そうなので、「健康雑誌でも、お勧めの蜂蜜♪」を買い求める事も出来そう・・・なのですが、とりあえず(!)
 家にある、母が購入をした残り物の「柚子蜂蜜」を、片付ける事にしました。
 兄は抗生物質を飲んで(除菌)、しばらくしてから再検査の運びになりまして、ダメならまた除菌をする事になるそうで・・・今現在も、次回の検査待ちです。 (-_-;)

●そして・・・私の方・・・なのですが★

この年の正月は、葛飾・柴又へ。これは「矢切りの渡し」です

 胃の消化運動が、余り上手に働いていないそうで、2月3月と吐き気と共に目覚める日々・・・★ (^_^;)
 思わず、「私もとうとう、身籠ったのかしら・・・?」などと、気持ちだけは遊んでみたりして、生活を盛り上げようとはして・・・みたのですが・・・。 (-_-;)
 気持ちだけで、情けなくもトイレに通う日々が続きました。

 ・・・お腹の調子も悪いし、体重は落ちないくせに気持ちだけ何だかゲッソリで、午前中は布団に篭るしかないような生活でした。
 これも、暖かくなってくれば調子は上がってくるのだそうで、今は・・・冷たいものは余り摂らないようにして、香辛料の多い食べ物は控えています。

●ちなみに3月には(個人の)確定申告に身を費やしましたし、7月には亡き母の遺産相続の申告があります。

こちらは、帝釈天

 母名義のモノを整理し、実家の会社も・・・一応は「株式会社名義」で母は株主だったので、同族会社とはいえ・・・自社株の評価をして、それも相続の対象になるのだそう★
 手続きは色々と面倒そうですが、ぽつぽつと片付けていくつもりです。 (^_^;)

 また平面図を基に・・・評価額を算定しなくてはならないので、売買契約書なんかも捜し物の途中で発見をしたのですが・・・これがなんと(!)
 毛筆で書かれたもの(!)でした。
 ・・・墨文字で、とっても黒々と書かれたモノだったので、歳月の長さに思わず笑ってしまいました。

●さて、そんなこんなの日々でしたが、たしか前回の「はわゆエッセイ」では、曾お祖母さんの三味線のお話をしていました。

 2005年より・・・私は幾つか、お稽古事(立ち廻りの他に)始めたのでした。
 林邦史朗の「武劇」を世界に広めるべく、そしてそのショーに華(?)を添えられるよう・・・志だけは、富士山より高い(!)
 「生け花(小原流)」「地唄(生田流・宮城派で、箏と三味線を交互に)」習い始めました。
  それから、外国に三味線を折って持ち運びが出来るよう、三味線工房を見つけて・・・いよいよ三味線をそこへ持ち込みました。

簡単に、三味線の名称を♪

 前回もお話をしたのですが、曾お祖母さんの三味線には折って、3分割に出来る機能がありました。
 ですが(太平洋戦争もあったし)で、持ち運ぶ時に・・・折った部分を保護する「相木(あいぎ)」がどうも紛失をしてしまったらしくて、家にはありませんでした★

 「相木」を作成するには、三味線を工房に入院(ならぬ入房)させなくてはならないそうで、それなら・・・と。
 ついでに調子の悪かった糸巻きについても、ご主人に診てもらう事にしました。
 三味線を預けるのだから、この際、徹底的に診てもらわなくっちゃ。 (^_-)-☆
 この際やるなら、徹底的に・・・と、貪欲な私です★

●そして一週間ほどして、三味線を今度は、引き取りに行きました。

このように、上下に叩く事で緩めます

 工房のご主人はまず、三味線の折り方を丁寧に教えて下さいました。
 それまでは・・・マジックペン「キャップ」の如く、三味線を折る時にも、右手と左手にこう持ち、力任せに引き抜いていた・・・私です。 (^_^;)
「それでも出来ない事はありませんが、結構しっかり入っているので、このやり方の方が良いですよ
 と・・・三味線の折れる部分を左手で握り、この左手を上から右手でトントン♪と叩いて、その反動で緩めていく・・・。
 そんなんで、本当に抜けるのかなぁ・・・と実は、半信半疑だった・・・私だったのでありますが★

これは、ダメです!

 一度試してみようとは思うのですが、これを試すにはまず、糸3本を外してからでないとダメだしで、(面倒で)いまだ試しておりません・・・★ (^_^;)
 まぁ・・・ご主人がそういうのなら、きっと、そうなのでしょう・・・。 (゜-゜)

 ご主人には前回、私が工房を訪れた折に。
「とにかく、三味線(&お箏)は、とってもビギナ~♪な人なので」
 と伝えてあったのが良かったのか、とても親切に私の疑問に・・・色々と答えて下さいました。
 ・・・ちなみにこの工房は、明治の時代からこの地で営んでおられるそうで、今のご主人の代で三代目(!)
 兄弟で経営を支えているそうで、「あどマチック天国」などの番組でも取り上げられた事がある、由緒ある工房なのだそうです。

●・・・さて私の驚愕は、前回の「さわり事件」を切っ掛けに、どんどこと続きます・・・。

「この三味線に付いていたは、小唄用のモノですね」
「えぇえぇえええっ!?!?」
 ・・・ご主人、前回に引き続いて2度ビックリ(!)
 怪しい胸騒ぎを覚えつつ、私が勇気を持ってお尋ねします・・・。
「・・・こ、駒ってもしかして・・・流派によってとかで、色々とあったりするモノなんでしょうか・・・」 (-_-;)

 「駒」とは、「味線の皮と、弦の間を支えるモノ(ブリッジ)」であると、広辞苑には載っています。
 ・・・私は幼少のみぎりに、亡くなった母の勧めで・・・というか、強制的に(!)小学校の4年生から長唄(三味線の流派の一つ)を習い始めさせられました。
 それ以前に実はは、個人的に「小唄を習っていた」のだそうです。

前回はこの「さわり」のお話でした★

 母のお友達のお姐さん(「おきんちゃん」、と言ったそうです)が、「花柳界の方だった」らしく。 (^0_0^)
 ・・・一時期はなんと(!)私のお父さんもその方に習っていた時期があったそう(!)
 その後、ずーっとずーっと後に、父はガンの手術を受けたのですが、一度お腹を切ってしまうと・・・前のようには声が出なくなってしまったそうで★
 それが切なくて・・・私の父は、小唄を殆ど唄わなくなってしまったのだとか。
 「声が良い」と、みんなに誉められていたのだそうで、それ故に・・・たまに母の前でだけ、それも興が乗った時に戯れに唄うばかりだった・・・そうですが。
 なので私は、父が小唄を唸っている所を見た事は・・・一度もないのです。 (-_-;)

●かくかく・しかじかの事情で!

 私こと山野亜紀が物心付いた時には、曾御祖母さんの三味線には「小唄の駒が付いていた」のでした。
 聡明な・・・私の母の事です。
 私が長唄の発表会に出た折には、この三味線で出演をしていたので、その折にはちゃんと・・・「長唄の駒を付けてくれてあった」と思うのですが、私には・・・その違いが全く(!)判らず★
 自分で練習をする時には、何となく・・・もとから付いていた(つまり、小唄専用の)駒ばかりを、ずっと愛用していたのです。 (-"-)

 だとすると・・・・・・・・・。
「私は、地唄を奏でるのに長唄用の三味線で、しかも(!)小唄の駒を使っていた(!)んですね・・・」
 三味線は、三味線。
 ずっと、ずーっとそう思っていた・・・私でしたが、三味線には種類があったり(!)だとか、小道具までも・・・こんなにも種類が色々とある(!)のだとまでは、全く・・・想像もしていなかったのです。 (-_-;)

●ご主人は、奥から様々な駒を出してきては、説明をして下さいました。

左の物が、幅1.1cm・長さ7.3cm・高さ1cm(長唄用)で、右が幅が1.3cm・長さは7.1cm・高さ1.2cm の小唄用

小唄は爪弾き長唄はを使いますよね?」
 ・・・小唄とは、江戸末期に「江戸端唄(はうた)から出た三味線曲」のこと。
 清元関係者(これも、三味線の流派のひとつ)が作曲したモノも多く、粋でさらっとした短い歌曲で、撥を使わず爪弾きする・・・と、広辞苑にあります。
「爪弾きをする訳ですから、三味線の皮と糸の距離は、あった方が良いのです。でも長唄は撥弾きでしょう?・・・ですから逆に、皮と糸の距離が少ない方が良いのですよ」

高さは、2ミリしか違わない・・・★ (^_^;)

 そういえば・・・地唄では音を奏でる時には、撥は上から落とすように弾けと、師匠に教えられていた私です・・・★

「地唄は、ドーン、ドーンという音を響かせるような曲作り音作りがされているので、にも鉛や金や銀などの金属を、要所にはめ込んで作ります」
 ・・・こんな小さな駒に、そんな小細工を・・・???
 私はただただ、圧倒されるばかりナリ!
「プロの弾き手なら・・・駒の素材だけでも、鯨の骨とかベッコウ(亀の甲羅)とか、やはりこだわって注文してきますね」
 ・・・とご主人、 鯨の骨の原型まで見せて下さって大サービス。 (^_^)v

三味線の駒って、プラスチックだとずーっと思っていたのですが・・・鯨の骨って例えば、セミクジラとか種類までも決まっているのですか?」
「鯨は、種類にはこだわりませんよ。・・・まぁ江戸時代にはプラスチックが無かったから(!)・・・ある物で、こういったモノを使った・・・という」
「ははぁ、なるほどぉ・・・」
 ちなみに、私の「小唄用の駒」には、写真では判り難いでしょうが・・・木製で、糸の当たる部分に銀が塗って(!)ありました。
 木だけでは、やはり擦り減ってしまうので・・・銀などを塗って、補強をするのだそうです。
 ・・・ちなみに長唄の駒は、探してみたら鯨の骨製プラスチック製と2つ、家にはありました。

●せっかくなので、私は撥(ばち)の相談もしてみました。

地唄の師匠が、私が子供の頃使っていた撥では、らしい音が出ないからと」
 子供時代は・・・何しろ子供なので、小さい木製の撥を使っていました。
 大人になってからは、地唄でもその撥を再利用していたのですが、師匠に言われたので言われるままに・・・重たいプラスチック製の撥に変えていたのです。
 師匠はそれで満足をして下さいましたが、私的にはとにかく重たい(!)

「地唄というのは、音を響かせる曲作りがされていますから、撥も重いのを使うんでしょうけれど・・・でもコレで稽古をしてると、撥の重さで・・・二の腕から下が痺れて本当に、とっても(!)辛いんです」 (>_<)

写真左側が、長唄用の木撥で、右が地唄用のプラスチック製

 長唄用のは1.4キロで、地唄用が2.5キロ・・・。
 昔は名取になった「象牙の撥を買え!」と、どの師匠も真面目に言っていたんだそうです・・・。
 ですが、現在では(象牙が昔よりも、大変高価になってしまった為か)そのような事はない・・・とは、師匠のお話だったのですが★
 私は
、その撥で・・・長唄の曲も(譜面を見ながら)戯れに弾いていたりもしますから、重たい撥での長唄は、とても、とーてーもぉ、辛いモノがあるのでした・・・。 (^_^;)

「ここでも、普通に木撥ならありますよ」
 と・・・ご主人仰いますが、そういえば人伝に、舞台ではプロの三味線弾きは、白撥以外では演奏しない・・・という話も聞きます。
「舞台ではやはり、木製の撥ではダメだとか、言われるモノなんでしょうか?」
「・・・最近では余り、こだわらないように思いますが」

 これも商売、話の種にと思うのか、ご主人は何だか「ベッコウの撥」とか色々と見せて下さいます。
「ここにもあるにはありますが、ベッコウ地唄用の撥だと30万以上(!)しますよ」
 ひょえ~・・・、さすがにベッコウは高価なのね。 (^_^;)

ベッコウの原料は、亀の甲羅★

 さて、長唄用の木製の撥を持ってみると・・・なるほどに軽い。
「でも長唄用でも、ベッコウの撥は高価だし重たいですよ。木撥なら、この匁の重さで十分ですが・・・どうなさいますか?」
 それでも2種類あったので、ご主人に一般的な方をと選んで戴きました。
「これで練習が、ラクに出来るようになります♪」
 いやいや、私はもう、ご機嫌♪

子供の頃は、週に2回(月に8回)稽古に通っていた・・・私ですが★

皮を張る前は、こんならしい★

 振り返れば、長唄の先生が猫を7匹も飼っていらっしゃった(!)ので今では、猫と遊びたくて通っていたとしか思えません・・・★
 家では金魚を飼っていましたし、猫は飼わせてもらえなかったのです。 (^_^;)
 ところが・・・現在はどこでも「週に1回の、月に3回の稽古スタイル」に変わったんだそうですね。
 ・・・ところで、三味線の皮といえば、高級なのは「猫皮」
 
それも、子供を産んでいない雌猫の、お腹の皮を使うのだ・・・そうですが★
 私の三味線は、安物の「犬皮を使って」います。 (^_^;)
 そうそう、そう言えば、この時とばかりに・・・私は勢い込んで尋ねてみました。
「三味線の糸も、ここでは取り扱っていますか?」

●三味線グッズを買うべく、インターネットを駆使しては・・・みたのですが★

 初めは、三味線の糸は「1の糸」「2の糸」「3の糸」と・・・三種類しかないとばかり思い込んでおりました。
 ・・・ところが、実際には「1の糸」だけでも幾種類かありまして、もう・・・何が何やらサッパリだったんですね★

「糸は、各種取り揃えておりますが・・・どれに合わせて(!)用意されますか?」
 またもや、嫌な予感が・・・。
「もしかして、流派によって糸が違ったりしていますか・・・?」
 ・・・ご主人は、こういったお客さんもよく相手をされているのでしょう。
 三味線の糸の表まで(!)見せて下さいました。

竹製の輪を、自分の指にはめて確認してから、それにニカワなどで爪を貼って作ります・・・ですから、邦楽器店に出向かないと作れません★

「地唄の流派は、生田(いくた)ですか?山田ですか?」
「生田です」
「三味線で言えば・・・同じ地唄でも、生田と山田では選ぶ糸が違い(!)ます

 ・・・そういえば「お箏」でも、生田では四角い筝爪を使っていますが、山田は丸い筝爪を・・・。
 後日に知った事ですが、同じお箏でも・・・山田と生田では、筝糸の締め方までもが違う(!)のだそうです。

●・・・日本の邦楽という、巨大なカルチャーショックに打ちひしがれている・・・私なんですが★

 ご主人は何食わぬ顔で、こんな事を聞いて下さいました。
「貴女の習っていたという長唄の流派は、何流ですか?」
「えっとぉ~~~・・・」
 子供の頃に習っていただけなので、情けないのですが、一瞬にしては名前が出ません。 (^_^;)
「えっ、とぉ~・・・。あのぉ何だか、極フツーの流派だったように思いますが・・・」
 言ってるだけで、我ながら情けない・・・私なんですが★

 ご主人、助け舟を出して下さる。
「・・・杵屋さんとか」
「・・・あ、あぁ、そうです。たしか、杵屋サンでした」
「すると、この糸になりますけれど。今は地唄を習ってらっしゃるんですよね?ならば糸は地唄に合わせますか?それとも三味線に合わせて、長唄に統一しますか?
 ・・・・・・・・・私は、しばし考え。
「そ、それでは三味線をベースに考えて、長唄に合わせていただければ・・・」
 ところで、箏の調音にも・・・困っていた私です★
 平調子(お琴の基本になる調子)専門の、調子笛も紹介して戴きました。
 もぉもぉ、お箏は13弦もある(!)ので、ビギナーに調音は物凄く難しく・・・。 (^_^;)

後にネットで調弦機を購入したものの、使い方に悩む日は長かったです★

 最近では、どんな楽器でも調音出来るメカ(調音機♪)を使って、発表会などでも音を合せているのだそうですが・・・金額的にも高価だし★
 そんなこんなで、私は・・・三味線工房で散財をして、帰って来たのでした・・・。
 ・・・それにしても、もしかして地唄を、長唄用の楽器で弾いても、本当の味は出ないのでは・・・???
 悩みつつも、とにかく・・・こうして曾御祖母さんの三味線を巡る長い旅は、終わりを告げたのでした。
 三味線のお話は、ともかくもここまで。 (^○^)

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