空手だったら、空手着を。
柔道をするには、柔道着。
それぞれに見合った稽古着というものがありますが、立ち廻りには「立ち廻り着」というものはありません。
中には「立ち廻り専用の稽古着」を作って、門下生全員に着せている所もあるようですね。
さて、私こと・・・山野亜紀の場合なんですが、林邦史朗先生が初めてのレッスンの時に。
まぁ、タレント養成所でだったので、場所柄というのもあったのでしょうが、
「稽古着は今持っている物でいいし、あれば道着が(一応格闘技などの稽古をする為に作られているから)いいけど、特に買ってまでの必要はない」
と言っていたので、本当に・・・適当に、好きなものを着ていました。
取りあえずは、汗をかくので。
動きやすい格好に、素足(滑らないようにする為で、でなければ5本指靴下を使用)。
そして腰には、出来れば帯刀できるように帯(またはベルト)を締めて、稽古に望むのがベスト。
勿論、汗拭きタオルは欠かせません。
・・・初めは、Tシャツにトレパンとか。
中には、ダンス着で稽古に参加される方も居ました。
●・・・ところで私こと、山野亜紀の稽古着暦というのも、まぁ・・・なかなかなんですね★
初めは、Tシャツに短パン姿。
立居振舞の稽古の時には、膝行の稽古をする関係で・・・膝を痛めないようにと、足首までのスパッツを履いて、帯の代わりにバンダナ二枚繋げて結んで使ってました。
その後、帯だけは黒帯を締めるようになり。
・・・洗っているうちに、縮んで小さくなって着られなくなったという師匠の道着のお下がりを戴き。
その後はまた護身術用のであったり、空手着であったり。
とにかく、着古した稽古着のお下がりを、さらに師匠から戴き。
お下がりを渡り歩いて、結局は稽古を始めて5年もしてから稽古着用にと、初めて空手着を買いました。
こうした道着は大体が木綿製なので、洗っているうちに小さく縮んでいってしまうので、少し大きいかな?位の大きさで買うと良いようです。
ところで、立ち廻りで空手着などを着ていますと。
・・・それも、伊達とは言え黒帯を締めていますから、よく空手を何年くらいやっていたんですか?
それで立ち廻りを始めたんですか?・・・と、聞かれます。
これが柔道着なら、柔道暦を聞かれるでしょうし、剣道着ならやっぱり、剣道暦を聞かれたことでしょう。
でも、・・・私は苦笑い。
実は私、立ち廻りを始めるまで、武道というものを一切、習った事はないんです。
・・・着ている物のイメージとは強いもので、何にもしていなくてもそう見えてしまうのですね。 (^^ゞ
そういえば、立ち廻りを習っているという話をしてると必ず、じゃあ薙刀を習っているのかと聞かれます。
・・・うーむ★
女性で立ち廻りというと、イコール薙刀のイメージなのかぁ・・・。
確かにテレビなんかでは、女性は大体薙刀だなぁ。
あれってようするに、画面で全員刀だと面白くないからじゃないのかなぁ??? (?_?)
・・・・・・・・・ん?
でも、確かに時代小説だと女性は小太刀か薙刀。
あってたまに、和弓かも。
・・・と、ここでいきなり何ですが。
山野サンの母親の時代では(彼女は、昭和一ケタの生まれ★)。
第二次世界大戦の頃では、女学校の体育の授業の中で薙刀と和弓をやっていたそうです。
当時どういう稽古をしていたのかと聞いてみると、和弓は的当て。(・・・・・・B29を狙っていたんでしょうか・・・?) (^_^;)
当時は、女学校の事務をしていたなるお爺さんが、弓が好きで。
流派は、日置流竹林派(へぎりゅう・ちくりんは)。
学校の裏の広場に、十六間(和弓はこの距離が基本・・・畳を縦に16枚繋げた長さですね★)のものまでは作れなかったので、八間の距離で的場に見立てて、練習をしていたそう。
ちなみに薙刀の方は、当時有名だった「小林せいこ女史」を、わざわざ女学校に呼んで稽古をしてもらっていたんだそうで、それは組手の稽古だったそうです。
・・・普通、薙刀の組手の稽古と言えば、打手(うちて)が剣で、仕手(して)が薙刀で行います。
ところが母の当時は、木刀ではなくて竹刀を使っていたので、これが自然に剣道の稽古にもなっていたんだそうです。
・・・女性が薙刀と言うのはあながち、全く違うとも言えないのですね。
●ところで、立ち廻りの稽古では、男性ではこれ、女性はこれというような得物の区別は、全くありません。
このHPでは「殺陣のライセンス」についてご紹介をしていますが、林邦史朗先生の殺陣の稽古場では、段位制になります。
つまり、級から始めるのではなくて、初段から始まるのですね。
・・・この林邦史朗先生が定めた初段の内容については、このHPの「殺陣の重要知識」という所で紹介していますが、現場での必要最低限の内容を体得したその時が、初段というのが・・・林邦史朗先生の道場での習わしです。
では、二段ではどうなるのかというと、勿論初段の内容に加えて空手でも刀法でも、もっと上級の技を体得して、表現できるまでを目指します。
・・・この「表現」ということ。
立ち廻りがただ単なる「殴る・蹴る・斬るのテクニック」ではなくて、お芝居の中にあるものだという事を物語っています。
空手や刀法の他にも二段では拳法や柔道、剣道に合気道、棒術(六尺棒)に薙刀までを範囲として、以上までが・・・林邦史朗先生が定めた二段の内容で、扱える武器や技が増える事で、演技の幅が広がるのを目指しています。
・・・さて、これが三段になりますと。
これらに加えて、馬術や弓術、忍者体術に火縄銃、トランポリンまでもが範囲内とされています。
そして四段になると、琉球古武術のヌンチャクやトンファー、釵に二丁鎌、手裏剣に隠し武器の使い方までもが加わり、おまけに真剣刀法の腕までもが必要となってきます。
そしてロープワークなどが加わって、最高段の五段となります。
さてそれでは、殺陣師は一体、何段からなれるのでしょうか。
殺陣道場総本部(つまり林邦史朗の考え方)では、立ち廻りの経験を十年以上、五段の実力がなければ殺陣師にはなれない・・・と、されています。
私が、初めて帯を買おうかなぁ・・・と考え始めた頃の事なんですが。
道着屋さんを教えてもらうついでに、林先生に、
「やっぱり初めてだから、白帯を買えばいいんですか・・・?」と、尋ねてみました。
でも林先生は、黒帯を勧めてくれました。
「これから、黒帯の似合う人になりなさい」
そんな訳で、林先生の稽古場に通う方達は、殆どの人が黒帯です。
・・・たまに柄物が好きなのか、紫や青といった人もありますが、ほとんどが黒帯の大群です。
そして林先生だけが、師範の赤帯です。
みんなで頑張って稽古をして、黒帯が板についてるねぇと言われる人を目指しましょう。