Q ライセンスがないと、殺陣はやらせないと聞きましたが本当ですか?
「芯」に対する「絡み」。
つまり主役と、それに斬り掛かっていくその他大勢の人々。
「殺陣」は戦っているシーンだけだと、思ってはいませんか?
主役に一手、斬りかかる位なら、誰にだって出来ると、そうは思っていませんか?
でも、ちょっと待って下さい。
殺陣は、『芝居』という大きな円の中に存在するテクニックであり。
そして時代劇は、とある時代の映し絵です。
まずはあなた自身が、「侍」でなくてはいけません。
侍は、幼少の頃より武道を嗜み。
着物に草履(または下駄)履きで、作法としきたりの中で生活をしています。
例えば、歩く、走るにしても、現代とはまるで違い、あくまで足捌きは摺足です。
・・・草履履きで、たとえばマラソン走りなどをしては、草履は脱げて、飛んでしまいますよね。
また、貴方の作法に対する知識は、どの程度ですか?
普通の正座は出来ても、鎧を身に付けた時の座り方(安座)はご存知ですか?
太刀と、俗に言う日本刀の違いは何か、ご存知ですか?
「殺陣」と一口にいっても、現場で求められる事は様々です。
勿論、時代が違えば、作法もまた変ります。
・・・生活様式からして、全て違うのです。
「やりなれていない行動」は、素人でも一目で判ってしまいます。
現場には、それを「様」になるまで稽古をする時間はありません。
ライセンスのない者には、殺陣はやらせられない・・・というのが、林邦史朗のポリシーでした。
NHKの大河ドラマでも、殺陣に慣れていない役者さんがキャスティングされた場合には、林邦史朗の現場では特訓を行われていました。