アメリカでは、古くから「劇用馬システム」が映像業界では存在していました。
・・・文字通り、「撮影用の馬」という意味ですから、人間界で例えるなら「俳優・モデルを職業にする馬」と言えば判りやすいでしょうか。
ところが日本には、林邦史朗が2008年7月に創立するまで、そのシステムがありませんでした。
では「撮影用の馬たちを、どこから調達してきたのか」と言いますと、撮影現場に近い乗馬クラブなどから必要数借りてくるのが通常でした。
・・・ただ難しいのは、「馬は生き物である」という事です。
普段は大人しい馬でも、撮影現場は慣れ親しんでいる自分の馬場ではありません。
ですから、緊張もしてしまいますし、興奮もしますから、不安がってしまって撮影がなかなか進まないという情況になる事が多いのです。
また馬の方から考えますと、平素は乗馬クラブで・・・乗客を振り落とされてしまっては、大問題になってしまいますから「乗馬客の安全のために、急発進や急停止は禁じられている」のに、撮影現場ではそこを強要されます。
いつもと違う場で、全く逆の行動を強いられ、しかも周囲には見たこともない仲間達が多数いたりしますから、 「一体、何が起ったんだっ!?」 と叫んでみても、馬たちに人間が説明をしてくれる訳でなし、ましてや馬同士でも、そんな情報を伝えてくれる訳でもありません。
林邦史朗は、その長い殺陣師人生で「馬の問題を幾多も経験し、切り抜ける法」を考案して来ましたが、撮影するロケ地も作品によって異なる事から「全国の馬場で使えそうな馬を持つ乗馬クラブと提携し、必要に応じて借り受けるシステム」を考案しました。
馬は生き物ですから、長い距離を移動すれば「人間と同じく疲弊」し、移動中もボロを出したり食事をしたり。
また馬は、人と一緒にホテルに宿泊する訳にはいきませんから、その場を先んじて考えておく事も必要です。
そして馬は臆病な生き物ですから、俳優が乗馬しながらに槍や太刀を振り回したり、背旗を着けたりするだけで嫌がる馬もいます。
そういった撮影の場合には、事前に馬場の方で「乗馬中に、背旗や槍や太刀などに慣れさせておく事が肝心」なのです。
そして撮影に向かうなら「撮影の最中で、馬を思い通りに御せる程の腕前を持つメンバーを一体、何名紹介出来るか」という事も抱き合わせていたのが、この「劇用馬コーディネイト制度」でありました。
・・・事実、林邦史朗だけは、そういったメンバーを揃えるのはもちろんの事、幾名もその手で育ててきた人物でありました。
例えば「流鏑馬をするシーンがあるならば、その腕前を持つメンバーと馬を紹介する」といった事も含まれていたのです。
また「馬1頭に対して、どれほどの費用が必要なのか」といった必要事項も併せて、「山野亜紀制作の林邦史朗のホームページで、長らく公開をして」いました。
現在は、乗馬クラブのホームページ制度も整い、このような制度がなくても良いように見えますが、予算やスケジュール作成など、何かの参考になるかと思いますから、「林邦史朗の歩みの一つとして、こちらでその内容を公開」致します。
「劇用馬について、林邦史朗が書き残した資料は、こちらをクリック!
※「その他の資料」にて、「剣道・柔道・弓術・ボクシング・太極拳・劇用馬と乗馬・暦と時刻や国と藩の名前」内において記載。
このHPでは、林邦史朗の研究成果や稽古様式の目録を公開し、映像や文献などを整理した上で必要な方には有償で申し受け、後世に伝える事を目的の一つとしています。