「撮影に掛かる実際問題」として、遠方から必要な馬を輸送してくるには、費用が掛かります。
それは、馬の移送費(車代+ガソリン代、高速料金代)だけでは、ありません。
馬は生き物ですから、食事もすれば、ボロ(糞)も出します。
馬の食事については、厩舎から運んで来るのが原則ですが、馬がロケ先で宿泊をする事になれば、まずは馬の休憩場所や宿泊場所を探さなくてはなりません。
ロケ地と撮影現場との距離が遠ければ遠いほど、それに比例して費用が掛かり、馬の場合は特に下準備が必要です。
林邦史朗が当時「劇用馬プロジェクトを立ち上げるまで」は、そんな風に苦労をして連れて来た馬でも、実際には馬が興奮をしてしまって、使えなかった事も多くあったと聞きました。
・・・なかには10頭を連れて来ても、安心して使える馬は半分くらいというような事も、何度もあったと口にしていました。
ここでは、劇用馬を使う為に一体どのような名目で、どの位の費用が掛るものか、どのような事が起ってくるのかを、ご紹介致します。
(金額に付きましては、林が亡くなった2015年当時の金額でご紹介をしています)
劇用馬の予算 | |
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馬の値段 | 劇用馬と一口に言っても、例えば栗毛の馬が良いとか、葦毛の馬が良いとか。 必要に応じて、ウィリー(後ろ足で立つ馬)が出来る馬が欲しいなど、需要は色々あります。 ですが基本的には、一頭につき幾らで計算がされています。 |
馬に掛る費用 | 撮影現場だからといって、連れてきた馬は野放しにする訳にはいきません。 なので1頭につき、まず1名。 他にもう1名、人が付くのが基本です。 この人件費は、(林流では)1日8時間拘束を基準に、延長は2時間毎に1割といった具合で計算をしていました。 何故「馬1頭につき2名が必要」なのかと言えば、馬は生き物です。 なので食事もすれば、ボロも出しますから、そのボロの始末などは、馬の傍を離れての作業になります。 なので、最低でも「馬の傍にいる者の他に1名は絶対に必要」で、人件費の計算は(林流では)上記の通りで、この人数の方も、馬の総数によって変わります。 その他に、馬を運ぶのに馬運車が必要になりますが、これを借りて来るとなると、1日につき、馬が5頭位乗れる大きさのモノで5万位はすると聞きますし、運搬費としてガソリンや人件費、作業員が馬場までの交通費や食事代辺りが請求の対象になります。 |
馬装について | 現代劇なら、馬具(鞍や鐙、手綱など) はイングリッシュかウエスタンと呼ばれる種類の物を使います。 これが時代劇になりますと、まずは鞍が「和鞍」に変わりますし、鐙も「船」と呼ばれる特殊な物を使います。 その他、乗馬する者の身分に伴い、三懸(さんがい)と呼ばれる馬装を使います。 面懸(おもがい)、胸懸(むねがい)、尻懸(しりがい)と呼ばれる物ですが、その他に手綱も特別の物になります。 大抵の厩舎では、現代の洋鞍ならば装着出来る方がいますが、和鞍は特殊な物なので、こちらは装着出来る方がいません。 林流では、和鞍や馬装の扱いに長けた者を、ご紹介していました。 |
乗馬する人 | 馬を走らせる場合は、危険手当が上乗せになりますが、ただ馬を歩かせるだけなら、この範囲ではありません。 これも(林流では)1日8時間拘束で、超過すれば2時間毎に1割増しで計算していまし、撮影・乗馬に慣れた者を、ご紹介していました。 |